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世界は、名付けられる前の姿をしている。

  • 2019年3月8日
  • 読了時間: 2分

春が来て、こどもは歩き出す。

転んでもすぐに立ち上がり、目を輝かせ、前へ前へと進んで行く。

おかあさんのことなんて、すっかり忘れて駆け出す。

これはなんだろう、あれはなんだろう。

ずんずん ずんずん。

きょろきょろあたりを伺いながら、よりみち道草。

わきめもふらず、猪突猛進。

落ち葉に 花びらに 水に 小枝に

触れてみる。舐めてみる。投げてみる。握りつぶしてみる。

やがて、ふぃっとよその世界に吸い込まれていく。

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可愛らしいイラスト(そして下に単語で名称がついている)の図鑑が、たくさん本屋さんに積まれていた。ファースト図鑑ということで、人気があるそうだけど、うーん、どうにも好みじゃないなと思ってた。

いつだって、ことばにならないモヤモヤを深く掘っていくと、自分が尊いと思うものは何で、たいせつだと思うことは何かが、浮き彫りになっていく。

たくさんの単語を手に入れて、世界を知ったような気になっている大人の自分。

名が与えられれば、確かそうなものが”そういうものだ”といえば、そこに安住して、思考を停めてしまう。未知のものを、初めて知っていくことができるまっさらな君には、もったいないかもしれない。

平面図形の形状と名詞と文字を結びつける作業能力をもたせれば、表面上、君が賢くなったような気がして、私はきっと安心できるんだろうな。

でも、絶対量の少ない経験の上に、見たこともないものたちの名前をどっさり与えられたら、文字の海で窒息しそうだ。

いつか、豊富な体験で心とからだがいっぱいになったら、ぱらりとひらける本物の図鑑があるといいのではないかな。

こどもの世界に、文字はまだない。

世界は、名付けられる前の姿をしている。

名前なんて、いまの君には必要ないって思う。

おとなの世界のルールを、早く、たくさん身につけることが良いことだなんて、ちっとも思わない。

たくさん無駄なことをして、回り道をして、感じて、世界とつながっていけばいい。

ヘレンケラーが、最初の言葉、”water”を理解したときのような感動をもって。


 
 
 

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