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伊勢神宮 白いヴェールの先へ

  • 2016年3月21日
  • 読了時間: 3分

「この神風の伊勢の国は、常世の浪の重波(しきなみ)よする国なり、傍国(かたくに)のうまし国なり、この国に居らむと欲(おも)う」(日本書記 天照大神)

伊勢神宮で、御垣内参拝をしてきました。

白いヴェールの向こう、神様の御前でお参り。

観光地のざわめきから一線を画した空間に白装束の神官と足を踏み入れると、

少し大きめの白石が敷き詰められている。

おずおずと歩いて、おおきな鳥居の目の前に立てば、向こうから絶え間なく風が吹いてくる。

その風は、仄かに鳥居やお宮の木の香りを運んでくる。

(それほど近い場所で出会えたのは、本当に幸運。)

鳥居の奥にあるお宮の扉は閉ざされ、見上げれば雲ひとつない真っ青な空。

鳥居の向こうにあるお宮と空はまるでひとつになっているかのように、

そのままずっと天上まで続いているかのような錯覚を覚えた。

これと同じ感覚を、どこかで感じた気がすると思った。

屋久島。

屋久島で宮之浦岳に登ったときのこと、

山頂にある、山の神様の居る場所から空を見上げたときも、

絶え間ない風が吹き、ちいさな鳥居の先、岩間は天上へつながっていた。

この場所は「清廉」というのが最もふさわしい、と思う。

静かで凛とした空気を纏った、天と繋がる場所。

伊勢の枕詞として神風が来る理由も、わかったような気がする。

(ちなみに古事記でも、伊勢の枕詞は神風。)

外宮・内宮で御垣内参拝をしたあとは、別宮へ。

伊勢神宮には14の別宮がありますが、

思いがけず訪れることになった倉田山の倭姫宮は、大正時代に創立された一番新しい別宮。

倭姫は「大神を鎮め坐させむ処を求めて」、二千年ほど前に五十鈴川のほとりに伊勢神宮をおいた姫様。

伊賀、近江、美濃などいろいろな場所を巡って、各地に稲作を伝えたともいわれています。

長旅を厭わずあるべき場所を見極めたり、稲作を伝えたという倭姫。

現代風にいえば、根性とバイタリティに溢れたやる気のあるキャリアウーマンですな!と思いつつ、

そうはいっても古の斎宮、第六感とでもいうべき、研ぎすまされた感性をもった魅力的な女性でもあったのだろうと思う。

別宮はさまざま訪れましたが、

倭姫宮は人もほとんどおらず、静謐で明るい空気に満ちていて、わたしにとっては一番の別宮になりました。

写真を撮れば虹が映り込んだり、なんだか歓迎されているような気分。

屋久島も、下鴨神社の糺ノ森も、伊勢神宮もそうだけれど、

長い時間をかけて育まれた、巨木が並ぶ苔むす森には力が満ちていて、

そこを吹き渡る風は清かで、天は高い。

ことばではない、たしかなものに出会う場所。

どんなときでも、眼を閉じればあの清廉な場所と繋がれるようにありたい。


 
 
 

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