ホトトギスが鳴いたから、万葉和歌。
- 2015年5月15日
- 読了時間: 4分
万葉集が勉強したくて、大学は京都にした。
(でも、3回生で研究室に分かれる時、説明会でケーキと紅茶が出たから仏文に入った。)
特に「詠み人知らず」の歌が好きです。素朴で、胸の真ん中を打つ作品が多いなぁと思います。
最近、家の近くでホトトギスが鳴いていたので、万葉集を思い出しました。
(万葉集で一番出現率の高い鳥なんです。編者の大伴家持が偏愛していたに違いない。)
思いつくままに、いくつか紹介していきたいと思います。
何か笑えたり、この歌いいなって、きゅんとしてもらえたら、嬉しいです。

【青春片思い(たぶん中学生)部門】
その娘、ちょっと変わってると思うよ…でも、そこを可愛いと思っちゃうのね。
(※妹(いも)というのは、好きな女の子のこと。ちなみに背子(せこ)は好きな男の子のことです。)
「振分の 髪を短み 青草を 髪にたくらむ 妹をしそ思ふ」
詠み人知らず
長い髪の大人のお姉さんたちに憧れて、
野原の草を髪の毛に突っ込んじゃうあの娘、可愛すぎるよ。
「我が背子(せこ)が かざしの萩に 置く露を さやかに見よと 月は照るらし」
詠み人知らず
彼が髪にかざしている萩の花の上の露も、
ちゃんと見なきゃいけないよ、と月が露を照らしているわ。
(でも残念ながら、私は彼のことしか目に入らないわ…)
【こんな夫はすてきだな部門】
結婚しても、こんなことを言ってくれる男性がいたら、幸せね。
「大和の 黄楊(つげ)の小櫛を押え挿す うらぐはし児 それそ我が妻」
詠み人知らず
大和の黄楊の小さな櫛で髪を押え挿している、
美しい娘、それは私の妻です。
【天武天皇と奥さん部門】
ふざけ合う夫婦のやりとりがTwitterレベルで、微笑ましい。
「我が里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 降らまくは後」
天武天皇
私の里には、大雪が振ってるよ。
君が住んでる古びた里(笑)に雪が降るのは、
もっと後だろうね。
「我が岡の おかみに言ひて 降らしめし 雪の摧けし そこに散りけむ」
藤原夫人
私が住んでるのは、あなたの里より高い岡にあるのよ。
それに、その雪は私が雨の神様に言いつけてそこに降らせたのよ。

つい、どうしても紹介したいくて・・・・
【男々しくて部門】
安見児(やすみこ)さんに至っては、実名まで晒されて、若干の同情を覚えます。
「我はもや 安見児得たり 皆人の 得かてにすといふ 安見児得たり」
藤原 鎌足
みんなが手に入れられなかった高嶺の花、
安見児ちゃんは私がもらった。
「大船の 津守が占に 告らむとは まさしに知りて 我が二人寝し」
大津皇子
津守(神主さん)ごときの占いに出てしまうとは。
しかし当然、そのようなことは知った上で、私たちは寝たのだ。
【女は怖いよ部門】
これが1400年遺っていることについて、
むしろ児部女王さんが可哀想になる。
左注 「その愚を嗤笑ふ」
「うまし物 いづくも飽かじを 坂門らが 角のふくれに しぐひあひにけむ」
児部女王
素敵な物は、誰だって飽きないはずだけど。
坂門娘子(さかとおとめ)さんは、
なんであんな不細工とくっついたのかしらね。

次は、わたしが大ファンの旅人おじさんの歌です。
【おじさんはつらいよ 宴会部門】
そのきもち、なんかわかるよ!
「賢(さか)しみと 物言ふよりは 酒飲みて 酔ひ泣きするし 優りたるらし」
大伴旅人
酒飲むと説教してくる奴より、
酔っぱらって泣き出す奴の方がましだな。
「あな醜 賢しらをすと 酒飲まぬ 人をよく見ば 猿にかも似る」
大伴旅人
あぁ嫌だ、澄ましちゃって、酒飲まない奴。
よく見るとあいつ、猿っぽくないか。
【旅人さんってやっぱりすてきだな 番外編】
いいこと言うおじさんって、かっこいいね!
「生ける者(ひと) 遂にも死ぬる ものにあれば
この世にある間は 楽しくをあらな」
大伴旅人

万葉の時代から200年くらい時代がうつると、
和歌は複雑で、技巧的になる。
そして、いつしか貴族のもののように扱われてしまう。
1400年の間、この「万葉集」に価値を見出し、
それを次の世代へ受け継いでいこうとした人々がいて、
決して途切れることなく存在してきたこと。
1400年という数字の中にある、一人一人の存在や数多のつながりは、
受け継がれてきた価値の重さだと思う。
私も、万葉集のいちファンとして、
受け継ぐひとりでい続けようと思う。
自由で、面白くて、人間らしい。
直球ストレートで、文句を言わせぬいさぎよさ。
風と光にあふれるこれからの季節になってきました。
いつか、季節の万葉和歌も紹介したいなと思っています。





















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